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日常の中の「強くありたい自分」
一般に、「心の強さ」はよく話題になります。
- あの人はメンタルが強そうだ
- 自分はメンタルが弱いかもしれない
- 打たれ強くなりたい、少しのことでへこまない自分でいたい
そんな思いを、一度は抱いたことがあるかもしれません。
一方、現実の私たちの心は、日々揺れ動きます。
- うまくいかなかった日には、ぐったりと疲れを感じる
- ふとした一言が心に残って、思っていた以上に傷ついている自分に気づく
- 「もっと頑張れるはず」と思っていたのに、どうしても動けない日がある
強くありたい気持ちと、実際の自分の揺らぎとのあいだで、
静かな違和感やモヤモヤを抱いている方も多いのではないでしょうか。
こんな悩ましさはありませんか?
少し、ご自身のことを思い浮かべながら読んでみてください。
- 「もっと打たれ強くならなきゃ」と思いながら、実際には落ち込む日が何度もある
- しんどくなったときに、「こんなことで弱っている自分はダメだ」と、さらに自分を責めてしまう
- 周りから「メンタル強そう」と見られるほど、弱さやしんどさを見せづらくなっていく
「折れない自分でいなければ」という思いが強くなるほど、
「折れてしまった自分」を受け入れにくくなる。
そんな、少し切ないジレンマを抱えてしまうことがあります。
そのままにしておくと起こりやすいこと
もう少し違う角度から見てみると、次のようなことも起こり得ます。
- 「まだいける」「気のせいだ」と我慢を重ねた結果、本当に動けなくなるところまで頑張りすぎてしまう
- 辛さを感じたときに、「弱音を吐いたら負けだ」と感じて、誰にも相談できないまま一人で抱え込んでしまう
- 一度心が折れたとき、「自分はこんなに弱かったのか」とショックを受け、そこからさらに立ち直りづらくなる
「折れないこと」だけを理想にしてしまうと、
人として自然な揺れや傷つきまで、すべて「失敗」のように見えてしまう危険があります。
心理学から見た「二つの強さ」
「ハーディネス」と「レジリエンス」
ここで、心理学の中で語られてきた二つの考え方を、簡単に紹介します。
「ハーディネス(hardiness)」
ストレスを受けても、比較的ダメージを受けにくく、前向きに対処しやすい、いわゆる「打たれ強さ」や「硬さ」に近い側面を表す概念です。
仕事やスポーツなど、負荷の高い場面で研究されてきた経緯があります。
「レジリエンス(resilience)」
一度ダメージを受けたり、落ち込んだりしても、時間をかけて回復したり、しなやかに立ち直っていく力を表す概念です。
子どもから大人まで、困難な状況をどう乗り越えていくか、という文脈で多く扱われてきました。
かなりざっくりとイメージを分けると、
- ハーディネス:ダメージを受けにくい、折れにくい強さ
- レジリエンス:ダメージを受けても、そこから戻ってこられる強さ
と考えることができます。
どちらかが優れていて、どちらかが劣っているという話ではありません。
大切なのは、「心の強さにも、いくつかの種類がある」と知っておくことです。
特に、「ハーディネス」だけを重視しすぎると、
- しんどさを認めるのがこわくなる
- 弱さを見せることを、自分の失敗のように感じてしまう
といった状態に陥りやすくなります。
そこで役に立つのが、「レジリエンス」というもう一つの視点です。
「レジリエンス」の視点を持っていると、
- 「折れないこと」よりも、「折れたとき、どう戻ってくるか」に目を向けやすくなる
- 落ち込むことや傷つくことを、「ダメなこと」ではなく、「人として自然なこと」ととらえ直しやすくなる
- 「今はしんどいけれど、ここから立て直すとしたら何ができるだろう」と、次の一歩を考えやすくなる
つまり、「傷つかない心」だけでなく、
「傷つきながらも、ゆっくり形を取り戻していく心」も、
確かに一つの強さなのだととらえ直してみること。
ここに、「レジリエンス」の考え方のエッセンスがあります。
今日から試せる「しなやかな強さ」の育て方
ここからは、「折れない心だけが正解」という発想から少し離れて、
レジリエンスの観点を少しずつ生活に増やしていくための小さなステップを紹介します。
折れかけているサインを「お知らせ」として受け取る
しんどさがたまってくると、こんな変化が出てくることがあります。
- 集中しづらくなる
- ミスが増える
- やる気が出てこない
- いつもよりイライラしやすい
こうしたサインが出たときに、
「情けない」「自分は弱い」と評価する前に、
「心が『そろそろ休ませて』と知らせてくれているのかもしれない」
と、まずは「お知らせ」として受け取ってみてください。
それだけでも、折れかけている状態を早めにキャッチし、
そこからどう立て直すかを考えるスタートラインに立ちやすくなります。
「なぜこんなに弱いのか」から「ここから何を足せるか」へ問いを変える
落ち込んでいるとき、心の中ではつい、
- どうしてこんなことでダメなんだろう
- もっと頑張れたはずなのに
といった言葉が浮かびやすくなります。
この流れを一気に止めるのは難しいかもしれません。
それでも、少し落ち着いてきたタイミングで、問いそのものを変えてみます。
「ここから、少しでも立て直すとしたら、何ができるだろう?」
たとえば、
- 誰かに少しだけ話を聞いてもらう
- 今日は思い切って早く寝る
- 明日の予定を一つ減らしてみる
- 好きな飲み物を用意して、数分だけ深呼吸する
大きな変化でなくて構いません。
「折れてしまった自分」を責め続けるモードから、
「立て直しの一歩を探すモード」へ、ゆっくり切り替えていくイメージです。
これまで「戻ってきた経験」を静かに思い出してみる
レジリエンスは、生まれつきの性質だけではなく、
これまでの「なんとか乗り越えてきた経験」の積み重ねからも育っていきます。
少し時間をとって、こんなことを思い返してみてください。
- 当時はとても辛かった出来事が、時間とともに少し軽くなっていった経験
- 落ち込んだあと、周りの人に支えられながら、少しずつ日常に戻っていけた経験
- そのときは最悪だと思っていたことが、振り返ると自分の転機でもあったと感じられる部分
それらを思い出しながら、
「自分にも、何度か戻ってきたことがあったな」
と、そっと確認してみることは、
今後しんどくなったときの「土台」になります。
Summary
折れない心だけに価値があるわけではない、という視点を
最後にもう一度、整理しておきます。
- 「折れない心」「打たれ強さ」はたしかに大事な側面の一つだが、それだけを理想にすると、「折れた自分」を受け入れにくくなってしまう。
- 心理学では、ストレスに強いあり方を示すハーディネスと、傷つきながらも回復していく力を示すレジリエンスが語られてきた。
- 目標を「傷つかないこと」だけに置くのではなく、「傷ついたとき、どう立て直していけるか」という視点を持つことが、レジリエンスの発想につながる。
- 自分の中の強さを、「硬さ」だけでなく「しなやかさ」としても見直してみることで、心が少し楽になることがある。
このブログやチルなコンテンツが、
- 折れないことだけを自分に求め続けるのではなく
- 「折れてしまう日もあっていい」
- 「そこから戻ってこようとする自分も、強さの一部なのだ」
と感じ直すための、静かな足場になればうれしいです。
今日から試せる小さな一歩
一日の終わりに、その日感じた「折れかけのサイン」を思い出し、「これは心からのお知らせかもしれない」と一度だけ受け止めてみる。
落ち込んだとき、「なぜこんなに弱いのか」ではなく、「ここから何を足したら少し楽になれるか?」と問いを変えてみる。
過去にしんどさから戻ってきた経験を、できれば一つメモに書き出して、「戻ってこられた自分」がいたことを目に見える形で残しておく。
力が残っている日は、予定やタスクをあえて一つ減らし、「折れてしまう前に調整する」練習を小さく行ってみる。
誰かに「強くなってほしい」と思うときと同じくらい、「しんどいときに立て直せるようであってほしい」と願う視点を、自分自身にも向けてみる。
今後のご活躍を陰ながら応援しております。
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