この記事を読み終わるころには、
- 「ポジティブにならなきゃ」「ネガティブは良くない」と自分を責めるのではなく、
- ポジティブもネガティブも、自分を守り・動かす「2つの力」なんだ と少し優しく見られるように
- 日常の中で「今はどちらの視点が役に立つかな?」と選び直す、
小さな“心のギアチェンジ”のコツ を持ち帰ってもらえることをゴールにしています。
― ポジティブでいるのも、けっこう疲れる…
最近は、SNSや自己啓発の本などを見ると、
- 「前向きに考えよう」
- 「ネガティブなことを手放そう」
- 「ポジティブ思考が大事」
といった言葉を目にすることが増えました。
一方で、現実の生活ではこんな場面も多いのではないでしょうか。
- 仕事でミスをしたときに、
「ポジティブに捉えなきゃ」と無理に切り替えようとして、かえってぐったり。 - 不安や心配ごとがあるのに、
「ネガティブな自分はダメだ」と感じて、誰にも話せなくなる。 - 慎重に考えているだけなのに、
「考えすぎ」「もっと前向きになれば?」と言われて、モヤっとする。
“ポジティブでいること”も、実はなかなかの重労働です。
一方で、“ネガティブに考える”ことには、もともと慎重になるための役割があります。
あなたの日常にも、こんな「心の葛藤」が、少しずつ溜まっていませんか。
ここで、そっと自分の最近のことを振り返ってみてください。
- 本当は不安なのに、「前向きに考えなきゃ」と言い聞かせすぎて、
かえって心のどこかで「置いていかれた気持ち」が残ってしまう。 - 慎重に考えているだけなのに、
自分のネガティブな面を「弱さ」や「性格の問題」として責めてしまう。 - 「ポジティブでいなきゃ」と「怖さをちゃんと見たい」が、
頭の中で同時に巡って、余計に決められなくなる。
「ポジティブ=いいこと」「ネガティブ=悪いこと」という前提で考えてしまうと、
どちらの側に寄っても、どこか自分を責める材料になってしまいやすいんですよね。
もう一歩、別の角度から見てみると、こんなことも起こります。
- 常にポジティブ側だけを大事にすると…
→ リスクを見落として、後で大きく落ち込むことがある。 - 常にネガティブ側だけを大事にすると…
→ チャンスをつかめなかったり、「どうせムリ」と動けなくなることがある。
そして何よりも、
「どちらかが正しくて、どちらかが間違っている」と考えてしまうと、
心の中でずっと“優劣のジャッジ”をしている状態になってしまう。
これが続くと、
- 自分の気持ちより、「どちらが正しいか」を優先してしまう
- ポジティブでもネガティブでも、「これでいいのかな」と自信が持てない
という、なんとも落ち着かない状態に繋がっていきます。
ポジティブに捉えることは、力強く人を動かす原動力に。
ネガティブに捉えることは、慎重に人を動かす抑止力に。
どちらが優れているか?という議論にせず、
今どちらが必要か?という視点を大切にできたら。
Contents
● ポジティブは「アクセル」、ネガティブは「ブレーキ」
心理学の研究では、人の動きを大まかに、
- 「得たいものに向かう力」(前に進む力)
- 「避けたいものを避ける力」(慎重になる力)
の二つで考えることがあります。
ポジティブに考えることは、
- 「せっかくのチャンスだからやってみよう」
- 「きっとうまくいくところもある」
といったアクセルになりやすい。
一方で、ネガティブに考えることは、
- 「ここでミスすると大変なことになりそう」
- 「一度立ち止まって確認した方が良さそう」
という形で、ブレーキや減速装置として働きます。
車がアクセルだけでも危ないように、
ブレーキだけでも前に進めないように、
どちらが“正しい”かではなく、状況によって必要なバランスが変わる、というのが大事なポイントです。
● 「防衛的悲観主義」という考え方
少し理論に触れると、「防衛的悲観主義(defensive pessimism)」という考え方があります。
これは、
- あえてネガティブな可能性(失敗・リスク)を先に想像しておくことで、
- それに備える行動(準備・シミュレーション)をとりやすくし、
- 結果的に、パフォーマンスが安定しやすくなる
という、人の“ネガティブな考え方”の機能を説明する概念です。
つまり、ネガティブに考えることも、
過剰に自分を責めたり、動けなくなる方向に使うのではなく、
「備えるため」「慎重になるため」に使うなら、大切な力になる。
ポジティブもネガティブも、
使い方しだいで「原動力」にも「抑止力」にもなり得るという視点が、ここにはあります。
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ここからは、「どちらが優れているか?」ではなく
「今どちらが必要か?」を選び直すための、簡単なステップをご紹介します。
① いまの自分が「どちら寄りか」をラベリングしてみる
まずは、ジャッジではなくラベリングから。
- 「いまの私は、かなりポジティブ寄りで考えているな」
- 「いまの私は、不安と慎重さが強いモードかも」
と、自分のモードに名前をつけてみるだけでも、
少し客観的に自分を見やすくなります。
② 自分に聞いてみる:「今の場面で役に立つのは、アクセル?ブレーキ?」
次に、こんな問いかけを足してみてください。
「この場面で、私にとって“役に立つ”のは、
ポジティブというアクセルか、ネガティブというブレーキか?」
たとえば…
- もう締め切りが明日に迫っていて、とりあえず形にしないといけないとき
→ 多少の不安は横に置いて、「アクセル」を踏むポジティブさが役に立つかもしれません。 - 大きなお金が動く契約や、子どもの安全に関わる選択をするとき
→ 「うまくいかなかったとしたら?」「どんなリスクがある?」というネガティブな想像が、
大切なブレーキになるかもしれません。
「どちらで思考するか」を“選ぶ”感覚が育つと、
ポジティブ/ネガティブの両方が、「自分の味方」でいられるようになります。
③ どちらかに振れすぎていると感じたら、反対側の問いを一つだけ足す
- ポジティブに突っ走りすぎていると感じたら:
→ 「もしうまくいかなかったとしたら、どんな備えが必要かな?」 - ネガティブに不安が広がりすぎていると感じたら:
→ 「もし、少しうまくいくとしたら、どんな小さな一歩が踏めるかな?」
“大転換”を目指さなくて大丈夫です。
「反対側の視点を、あえて一つだけ足してみる」くらいで十分な練習になります。
● Summary
- ポジティブ思考は、人を前に進める原動力(アクセル)になりやすい。
- ネガティブ思考は、人を慎重にさせる抑止力(ブレーキ)として働きやすい。
- どちらが優れているかではなく、
「今の自分/この状況には、どちらが役に立つか?」という問いが大切。 - 自分のモードをラベリングし、「アクセルかブレーキか」を選ぶ感覚が育つと、
ポジティブもネガティブも、自分を守り・動かす味方になってくれる。
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