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What You’ll Get
この記事を読み終えたとき…
- 「なんでもポジティブに考えなきゃ」と自分を追い込む力が、少しゆるみます。
- 悲しさや悔しさにも、いくつもの感じ方・意味づけがあり得る、という感覚を持ち帰ってもらえます。
- 日常の中で「他の感じ方はないかな?」と、自分の心にもう一つ選択肢を増やす小さなコツを、実践レベルでイメージできるようになることを目指します。
出来事の感じ方を「ひとつに決めない」という視点を、もう少し深めてみたくなった方に向けて。
本文の最後に、今日のテーマとつながる本を3冊ご紹介します。
気になったときには、そっとのぞいてみてください。
日常の出来事は「一つの意味」だけじゃない
日々の生活を振り返ると、こんな場面はないでしょうか。
- 仕事でうまくいかなかった日、「自分はやっぱりダメだ」と一気に落ち込んでしまう
- 誰かの何気ない一言が気になり、「嫌われたかもしれない」と頭の中で何度も再生してしまう
- 楽しみにしていた予定が流れて、「なんで自分ばかりこうなるんだ」と悲しくなる
同じ出来事でも、
- どう感じるか
- どう意味づけるか
によって、心の中の景色は大きく変わっていきます。
こんなモヤモヤ、抱えていませんか?
少し、自分のことを思い浮かべながら読んでみてください。
- 「前向きに捉えなきゃ」と頭では分かっているのに、悲しさや悔しさが全然消えてくれない
- 「もっとポジティブに考えよう」と頑張るほど、うまくできない自分を責める気持ちが大きくなる
- 「いい面を見つけよう」とすると、本音のつらさにフタをしているような感覚がして、どこか苦しくなる
「プラスの意味を見出す」という言葉は、うまくハマると心を助けてくれますが、
ときに…
- ちゃんと前向きに考えられない自分は未熟なんじゃないか
- 悲しんでいる自分は、まだ成長できていないのではないか
という、自分責めの材料になってしまうこともあります。
「いいこと言われているのに、なぜかモヤっとする」瞬間
視点を少し変えて眺めてみると、こんな体験もあるかもしれません。
- 誰かに「それもきっと意味があるよ」「いい経験になったね」と言われて、うれしい半面、どこかモヤっとする
- 「プラスに捉えられる自分でいたい」と願うほど、悲しさや怒りを感じている自分の一部を置き去りにしているような気がする
- 「この出来事には、こういう意味があるはずだ」と決めた瞬間、他の感じ方の可能性を自分で閉じてしまったように感じる
「全部ポジティブに意味づけしなきゃ」となると、
それはそれで、かなりしんどい生き方になってしまいます。
ここで、テーマを一度整理し直してみます。
- プラスの意味づけそのものが悪いわけではない
- ただし、「正しい意味づけは一つだけ」と考え始めると、心が窮屈になる
- 大切なのは、「今の感じ方」も大事にしつつ、「別の感じ方もあり得る」と気づけるかどうか
この「いくつかの感じ方が同時にあり得る」という感覚が、心の余白につながっていきます。
心理学的な背景:「認知的再評価」という考え方
心理学では、出来事そのものではなく、「出来事の受け取り方・意味づけ」を調整することで、
感情や反応が変わりうる、という発想が大切にされてきました。
こうしたプロセスは、しばしば
- 認知的再評価(cognitive reappraisal)
と呼ばれます。
ここでポイントになるのは、次のような視点です。
- 一つの出来事に対する感じ方は、本来いくつもあり得る
- 「今の自分はこう感じている。でも、別の見え方・意味もあり得る」と心の中に余白を作る
- 正解の意味づけを一つに決めるのではなく、「複数の感じ方を許す」という柔らかさを保つ
この余白があると、
- 悲しさや悔しさを否定せず、そのまま認めながら
- 同時に、別の意味やプラスの側面を「あとからそっと足す」ことがしやすくなります。
つまり、
- 悲しく感じている自分もいていい
- それとは別の意味を、ゆっくり探していく自分がいてもいい
と、心の中に複数の立場を共存させていくイメージです。
今日から試せる「感じ方の選択肢を増やす」小さなステップ
ここからは、「物事の感じ方は一つじゃない」と気づくための、現実的な小さな工夫をいくつか紹介します。
まずは「今の感じ方」をそのまま言葉にしてみる
いきなりプラスの意味を探しにいくのではなく、
最初にやってみてほしいのは、「状態の確認」です。
- 今の私は、とても悔しいと感じている
- 正直、まだ悲しさが大きい
- なんだかモヤモヤしていて、うまく言葉にならない
良い・悪いを評価するためではなく、
「こう感じている自分が、今ここにいるんだな」
と、一度そのまま言葉にしてみること。
この一呼吸が、次のステップへの土台になります。
「もし別の感じ方をするとしたら?」と“仮定形”で問いかけてみる
少し気持ちが落ち着いてきたタイミングで、こんな問いを投げてみてください。
「もし、この出来事に別の意味をつけるとしたら、どんな見方があり得るだろう?」
ここで大事なのは、“もし”と“あり得る”という仮定のかたちです。
例えば、
- この失敗のおかげで、次に気をつけるポイントがはっきりしたかもしれない
- この悔しさが、自分にとって大事なものを教えてくれているのかもしれない
- 今はまだしんどいけれど、少し時間が経ったら、別の意味が見えてくるかもしれない
「こう捉えなきゃ」と決めるのではなく、
「こんな感じ方も、将来的にはあり得るかもしれないな」と、選択肢を一つ足してみるイメージです。
「全部をプラスに変えること」より、「多重の感じ方を許すこと」をゴールにする
最後に、ゴールの置き方を少し変えてみます。
- ゴール①:全部をプラスに捉えられる自分になる
- ゴール②:悲しさや悔しさを持ったままでも、別の感じ方・意味づけも同時にあり得ると認められる自分になる
後者のゴール②の方が、現実的で、心にとってやさしい目標です。
「悲しいけれど、あの経験が教えてくれたものもあるかもしれないな」
というように、
感情を消そうとするのではなく、「増やす」方向で考えてみるのがポイントです。
Summary
- 同じ出来事でも、「どう感じるか」「どう意味づけるか」によって心の景色は大きく変わる。
- 「なんでもポジティブに捉えなきゃ」と頑張りすぎると、うまくできない自分を責めたり、本音のつらさにフタをしてしまうことがある。
- 心理学の中には、出来事の捉え方を調整する「認知的再評価」という発想があり、「感じ方は一つではない」という視点を大切にしてきた。
- 大事なのは、「全部をプラスに変換すること」ではなく、「今の感じ方」を認めたうえで、「別の感じ方もあり得る」と心の中に余白を作ること。
- その余白があると、悲しさや悔しさを否定せずに大事にしながら、少しずつ心を楽にする方向へ舵を切りやすくなる。
今日から試せる小さな一歩(ひとこと版)
- 今日あった出来事を一つ選び、「最初に浮かんだ感じ方」と「もし別の感じ方をするとしたら?」の二つを書き出してみる。
- 悲しさや悔しさを感じたとき、「この感情をそのまま認める」一文(例:今の私は本当に悔しいと感じている)をノートに書いてみる。
- 少し落ち着いてから、「もし将来、この出来事に別の意味をつけるとしたら?」と自分に問いかけ、思いつくものを一つだけ挙げてみる。
- 人の「前向きな意味づけ」の言葉にモヤっとしたとき、「いまの自分には、別の感じ方が自然なんだな」と、自分の反応をそっと認めてみる。
- 一日の終わりに、「今日、同じ出来事に対して2通り以上の感じ方があり得ると気づけた場面はあったかな?」と振り返る時間を、数分だけつくってみる。
心理学を学んできた立場から選ぶ、
あなたへの書籍3選
ここまでの話を、自分のペースでもう少し確かめたい方へ。
関連書籍を3冊ご紹介します。
このブログやチルな散歩の時間が、
- 感じ方を一つに決めつけてしまう窮屈さから少し離れて、
- 「こんな受け止め方も、自分の中にあっていいのかもしれない」と思い直せる
静かなきっかけになればうれしいです。

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