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「プラスの意味づけ」がくれる本当のギフト
この記事を読み終わるころには、
- 「なんでもポジティブに考えなきゃ」と自分を追い込むのではなく、
- 悲しさや悔しさにも、複数の感じ方・意味づけがあり得ることを、少し実感として持てるように。
- 日常の中で、「他の感じ方はないかな?」と
自分の心にもう一つ選択肢を増やす小さなコツを持ち帰ってもらうことを目指します。
― 「あの出来事、どう捉えるか」で気持ちは変わる
日常を振り返ると、こんな場面はありませんか。
- 仕事でうまくいかなかった日、「自分はやっぱりダメだ」と一気に落ち込んでしまう。
- ちょっとした一言が気になり、「嫌われたかもしれない」と何度も頭の中で反芻してしまう。
- 楽しみにしていた予定が流れ、「なんで自分ばかりこうなるんだ」と悲しくなる。
同じ出来事でも、「どう感じるか」「どう意味づけるか」で、
心の中の景色はかなり変わってきます。
以前、私は旧:Twitter(現:X)にてこんな投稿をしました。
一つ一つにプラスの意味を見出してみる。
時にはそんな時間を作ると、悲しさも悔しさも感じ方が変わるかもしれないんですね。
でもその作業で本当に大切なのは、一つ一つをプラスに捉えられる事以上に、
物事の感じ方は一つに限定されるわけではないと、気付かせてくれる事じゃないかなあと思うのです。
今日は、この投稿を少し掘り下げていきます。
少し、ご自身のことを重ねながら読んでみてください。
- 「前向きに捉えなきゃ」と頭では分かっていても、
実際には悲しさや悔しさが消えてくれない。 - 「もっとポジティブに考えよう」と頑張るほど、
うまくできない自分を責める気持ちが大きくなる。 - 「いい面を見つけよう」とすると、
まるで本音のつらさにフタをしているようで、どこか苦しくなる。
「プラスの意味を見出す」という言葉は、一歩間違えると、
「ちゃんと前向きに考えられない自分は、まだ未熟なんじゃないか」
という、自分責めに繋がってしまうこともあります。
もう少し別の角度から見てみると、こんなこともありませんか。
- 誰かが「それもきっと意味があるよ」「いい経験になったね」と言ってくれたとき、
その言葉がうれしい半面、どこかでモヤっとしてしまう。 - 「プラスに捉えられる自分でいたい」と願うほど、
悲しさや怒りを感じている“自分の一部”を、置き去りにしてしまう気がする。 - 「この出来事には、こういう意味があるはずだ」と決めた瞬間に、
他の感じ方・意味の可能性を、自分で閉ざしてしまっているようにも感じる。
「全部ポジティブに意味づけしないといけない」 となると、
それはそれで、かなりしんどい生き方になってしまいます。
ここで、先ほどの投稿に戻ります。
一つ一つにプラスの意味を見出してみる。
時にはそんな時間を作ると、悲しさも悔しさも感じ方が変わるかもしれない。
でも本当に大切なのは、
「物事の感じ方は一つに限定されるわけではない」と気づき。
つまり、
- 「なんでもプラスに変換しよう」
という“前向きトレーニング”そのものよりも、 - 「あ、自分はこの出来事をこう感じていたけれど、
他の感じ方もあり得るんだな」と気づけることが、一番のポイントだと考えています。
● 心理学的にいうと…「認知的再評価」
心理学では、出来事に対する受け取り方や意味づけを変えることを
「認知的再評価(cognitive reappraisal)」 と呼ぶことがあります。
- 元々は、認知行動療法などで扱われてきた考え方で、
- 「出来事そのもの」ではなく、「出来事の捉え方」を調整することで、
感じ方や反応が変わりうるという視点に立っています。
ここで大事なのは、
「正しい意味づけは一つだけ」と決めてしまうのではなく、
「今の自分はこう感じている。でも、別の見え方・意味もあり得る」
と、心の中に“余白”を作ること。
この“余白”があると、
- 悲しさや悔しさを否定せずに、そのまま認めながら、
- 同時に「プラスの面」や「別の意味」を、あとからそっと足すことができるようになります。
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ここからは、「物事の感じ方は一つじゃない」と気づくための、
現実的で小さなステップをいくつか提案してみます。
① まずは「いまの感じ方」をそのまま言葉にしてみる
いきなりプラスの意味を探す前に、
まずはいまの自分の感じ方を、そのまま言葉にしてあげることから始めます。
- 「今の私は、すごく悔しいと感じている」
- 「正直、まだ悲しさが大きい」
- 「なんだかモヤモヤしていて、うまく言葉にならない」
これは、ポジティブ/ネガティブのジャッジではなく、
「状態の確認」です。
「こう感じている自分が、今ここにいるんだな」
と一度認めてあげることが、次のステップへの土台になります。
② 「もし、別の感じ方をするとしたら?」と、あくまで“仮定形”で問いかけてみる
少し落ち着いてきたタイミングで、
こんな問いを投げてみてください。
「もし、この出来事に“別の意味”をつけるとしたら、
どんな見方があり得るだろう?」
ポイントは、“もし”と“あり得る”という仮定形で考えることです。
- 「この失敗のおかげで、次に気をつけるポイントがはっきりしたかもしれない」
- 「この悔しさが、自分にとって大事なものを教えてくれているのかもしれない」
- 「今はまだしんどいけれど、少し時間が経ったら別の意味が見えてくるかもしれない」
「絶対こうだ」と決めにいくのではなく、
“こんな意味づけも、将来的にはあり得るかもしれない”
と、心の選択肢を一つ増やすイメージです。
③ 「+の意味づけをすること」より、「多重の感じ方を許すこと」をゴールにする
最後に、ゴール設定を少し変えてみます。
- ゴール①:
「全部をプラスに捉えられる自分になる」
→ これは、かなりしんどいゴールです。 - ゴール②:
「悲しさや悔しさを持ったままでも、
別の感じ方・意味づけも“同時にあり得る”と認められる自分になる」
このゴール②の方が、
心にとってはずっと現実的で、やさしい目標になります。
● Summary
- 「全部をプラスに捉えなきゃ」と頑張りすぎると、
うまくできない自分を責めてしまい、つらさが増すことがある。 - 心理学では、「認知的再評価」という考え方を通して、
出来事の“感じ方・意味づけ”は一つではないことが示されてきた。 - 大事なのは、「全部ポジティブに変換すること」ではなく、
「いまの感じ方」を認めたうえで、「別の感じ方もあり得る」と気づくこと。 - その“余白”があると、悲しさや悔しさも大事にしながら、
少しずつ心が楽になる方向に舵を切りやすくなる。
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