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この記事を読み終えたときには
- 「実行機能ってなに?」という言葉のイメージが
「難しい専門用語」から「頭の中の司令塔」に変わります。 - うまく動けない自分を「やる気がない」「だらしない」と
だけ見ないで「実行機能の特徴かもしれない」と少し
柔らかく捉え直せるようになります。 - 毎日の中で実行機能をそっと助ける小さな工夫を
いくつか試してみようかな、と思えることを目指します。
この記事に関心を持ってくださった方には、今日のテーマとつながる本が何冊かあると心強いかもしれません。
実行機能は、気合いや性格の話だけでは語りきれないことがあります。
「仕組みとして知る」と、少し見通しが立つこともあります。
本文の最後で、「実行機能の理解や段取りの工夫に役立つ書籍を3冊紹介」します。
気になるときにだけ、チェックしてみてください。
こんな体験、ありませんか
たとえば、こんな一日。
やることリストは頭の中にある。
でも、いざ動こうとすると、何から手をつけていいか分からない。
仕事をしている途中で、メールを開き、
そのまま別の調べ物に飛んでしまう。
気づくと、さっきまで何をしていたのか思い出せない。
片づけを始めたのに、本や写真が気になって読みふける。
気づくと時間だけが過ぎている。
やる気がないわけではない。
それでも、頭の中と行動がうまくつながらない。
こうした「あるある」の裏側には
実は「実行機能」という力が関わっていることがあります。
こんなモヤモヤ、抱えていませんか?
- やるべきことは分かっているのに、
手が動き出すまでに時間がかかる。 - 締め切り前になって、ようやくエンジンがかかることが多い。
- 同時にいろいろ考え始めて、頭の中がごちゃごちゃになりやすい。
- 片づけをしているつもりが、別のことを始めてしまい、
どれも中途半端に終わる。 - 「ちゃんと計画して」と言われるけれど、
そもそも計画の立て方がよく分からない。 - 周りから「やればできるのに」と言われると
少し苦しくなる。
こうしたモヤモヤは、性格だけの問題とも言い切れません。
頭の中の仕組みと関係していることも多いです。
モヤモヤをもう一歩踏み込んでみる
実行機能がうまく働きにくいと
こんなジレンマも生まれやすくなります。
やる気はある。
でも、段取りを考えるだけで疲れてしまう。
「早く取りかからなきゃ」と分かっているのに
なぜか体が重く感じる。
一つのことに集中したいのに
音や人の動きが気になって、意識がそれてしまう。
うまくいかないとき
「自分は意志が弱いのかもしれない」
そんな自己評価が積み重なっていく。
誰かに説明しようとしても
「そんなの誰でもあるよ」で終わってしまう。
この「分かってもらいづらい生きづらさ」を
少し言葉にしてくれる視点の一つが
実行機能という考え方です。
実行機能って何だろう?
心理学や教育の分野では
実行機能は「頭の中の司令塔」と説明されることがあります。
ざっくり言うと
・やることを決める
・順番を考える
・途中で気持ちを立て直す
こうした一連の流れを支える力の集まりです。
イメージしやすいように
いくつかの要素に分けてみます。
頭の中でメモを持ち続ける力
「帰りにお茶を買って、郵便を出して、メールも返す」
こうした用事のメモを
頭の中でしばらく持ち続ける力があります。
これに関わるのが
ワーキングメモリと呼ばれる働きです。
メモできる量が少なかったり
すぐにあふれてしまうと
「あれ、さっき何をしようとしていたんだっけ」
ということが起こりやすくなります。
ブレーキをかける力
やりかけの仕事があるのに
通知が気になってスマホを見てしまう。
おもしろそうなことが目に入ると
ついそっちに手が伸びてしまう。
ここには「ちょっと待って」と
自分にブレーキをかける力が関わります。
一度反応が動き出してから
切り替えるのは大変です。
このブレーキのかかりやすさにも
人それぞれの特性があります。
切り替える力
仕事モードから休憩モードへ。
休日モードから仕事モードへ。
あるいは
「思っていた流れ」が変わったときに
気持ちや頭のギアを切り替える力。
これも実行機能の一部と考えられます。
予定変更や想定外の出来事があると
ぐったり疲れやすい。
頭では理解していても
気持ちの切り替えに時間がかかる。
そんなとき
「切り替えが下手だから」と責める前に
実行機能の負荷が高かったのかもしれない
と考えてみる余地があります。
実行機能は「性格の良し悪し」ではない
実行機能は
トレーニングだけで劇的に変わるものでもなく
生まれ持った特性や、これまでの経験、体調など
いろいろな要素の影響を受けます。
だからこそ
実行機能がうまく働かない → 意志が弱い
という一対一の図にはしないことが大切です。
「こういう場面では、頭の司令塔に負担がかかりやすいんだな」
そんな見方が一つ増えるだけでも
自分への責め方が少し和らぎます。
今日から試せる小さな一歩
実行機能そのものを「根性」で変えるのではなく
負担を減らしたり、外側から助けたりする工夫が役立ちます。
無理のない範囲で
できそうなものを一つだけ試してみてください。
- 頭の中のメモを紙やスマホにすぐ移す
(「覚えておく」を減らすための外付けメモ) - 「やることリスト」は、大きな塊ではなく
「5分でできる一歩」に細かく分けてみる - 取りかかりたいのに動けないときは
「とりあえず3分だけやる」と時間を小さく区切る - 作業中は、机の上や画面に出すものを一つに絞る
(視界に入る情報を減らすだけでも、実行機能の負担が下がります) - 予定変更が多い日は
あらかじめ「今日は疲れやすい日」と自分に伝えておく - 一日の終わりに
「今日はどんなことができたか」を
1〜3個だけ書き出してみる
(できなかったことより、動けたことに光を当てる)
どれも、完璧に続ける必要はありません。
調子の良い日に、思い出したものからで大丈夫です。
Summary
- 実行機能は
「やることを決めて、段取りし、動き出す」までを支える
頭の中の司令塔のような働きです。 - やる気がないわけではないのに
取りかかれない、続かない、切り替えが難しい
そんなモヤモヤの背景には
実行機能の負荷が関わっていることがあります。 - 実行機能の特性は
性格の良し悪しではなく
人によって違いがある「認知のスタイル」ともいえます。 - 自分を責める前に
「今は司令塔への負担が大きかったのかもしれない」と
見方を一つ増やしてみることが
心を守る助けになります。 - 実行機能そのものを無理に変えようとするより
頭のメモを外に出す
タスクを小さく分ける
情報量を減らすなど
外側の環境を調整する工夫が現実的です。 - 小さな一歩を一つだけでも試してみることで
「自分は少しは動ける」という感覚が
じわじわと積み重なっていきます。
心理学を学んできた立場から選ぶ、
あなたへの書籍3選
ここまでの話を、もう少し自分のペースで確かめたい方に向けて。
「心理学を学んできた立場から選ぶ、あなたへの書籍3選」を紹介します。
実行機能の話が
「自分のだらしなさの説明」ではなく
「生きづらさに言葉を与えてくれる考え方」として
あなたの毎日にそっと役立てば嬉しいです。

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