SNSを見たあとに気持ちが沈むのはなぜ?|使い方による違いと、ほどよい距離の探し方

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こころを整えるセルフケア

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この記事を読み終えたとき

  • SNSと気分の関係について、研究でわかっていることと、まだ言い切れないことを区別して知れます。
  • 「見るだけ」の使い方と「やりとりする」使い方で、研究の見方がどう違うかを知れます。
  • 自分の気分と SNS の関係を、責めずに確かめる小さな方法を持ち帰れます。

寝る前や電車の中で、なんとなくSNSを開く。
閉じたあとに、なぜか気持ちが重くなっている。
そんな経験がある人は少なくないかもしれません。
この記事では、研究が見てきたことをたどりながら、自分に合う距離を考えてみます。

閉じたあとに、どっと疲れている

たとえば、こんな場面はありませんか。

仕事帰りの電車で、タイムラインを眺める。
友人の旅行の写真、同期の昇進の知らせ、きれいに整えられた食卓。
一つひとつは「よかったね」と思える投稿なのに、降りる頃には、自分の毎日だけが色あせて見えている。

そんな自分に気づいて、さらに「なんでこんなことで」と思ってしまうこともあるでしょう。

こんなモヤモヤ、抱えていませんか?

  • 見るつもりがなかったのに、気づくと長い時間が過ぎている
  • 他の人の投稿を見たあとに、自分が劣っているように感じる
  • やめたいと思うのに、また開いてしまう
  • 「SNSで落ち込むなんて」と、自分を責めてしまう

「見るだけ」と「やりとりする」は、分けて考えられている

SNSと気分の関係を整理した総説があります。
この総説は、SNSの使い方を大きく二つに分けて、研究を見直しています。
投稿を見るだけの「受け身の使い方」と、書き込みやメッセージでやりとりする「能動的な使い方」です(Verduyn ら, 2017)。

総説によると、受け身の使い方と主観的なウェルビーイング(気分や生活への満足感)との間には、マイナスの関連が見られていました。
一方、能動的な使い方では、プラスの関連が見られる研究もありましたが、その関連は受け身の場合ほど安定していませんでした(Verduyn ら, 2017)。

著者らは、受け身の使い方が他の人との比べ合いや羨ましさを引き起こし、それが気分の低下につながる、という道筋を考えています。
能動的な使い方では、人とのつながりの感覚が支えになる可能性があるとしています(Verduyn ら, 2017)。

ここで気をつけたいこと

これは研究者が整理した見方であり、全員にあてはまる法則ではありません。
「見るだけ」が悪いと決まっているわけでもありません。
また、関連を調べた研究が中心なので、「SNSが気分を下げる」と言い切ることはできません。
気分が沈んでいるときに、SNSを受け身で眺めやすくなる、という逆の向きも考えられます。

研究全体では、関連は「小さく、複雑」

「結局、SNSは心に悪いのか」と知りたくなりますよね。
この問いに、数多くの研究のまとめを、さらに束ねて検討した研究があります。
34件の総説・メタ分析を整理し、594件の論文の内容を分析した結果、SNSの利用とメンタルヘルスの間には、全体として小さなマイナスの関連が見られました。
ただし、その関係は複雑で、どんな利用を、どんな指標で見るかによって変わると報告されています(Meier & Reinecke, 2021)。

つまり、「SNSは心にとって悪い」とも「問題ない」とも、一括りにはできないようです。
使う人、使い方、そのときの状態によって、違ってくる可能性があります。

比べ合いが起きやすい使い方もある

SNSの使い方と、比べ合いや気分との関連を調べた研究も見てみましょう。
18〜29歳の117人にアンケートをとった研究では、Instagram をよく使う人ほど、抑うつ症状がやや高い傾向が見られました(統計的には「わずかな」関連でした)。
さらに、面識のない人を多くフォローしている人ほど、他の人との比較が否定的になりやすく、その傾向を通じて抑うつ症状との関連が強まる、という結果でした(Lup ら, 2015)。

ここでも気をつけたいのは、この研究はある時点のアンケートだという点です。
参加者も117人と多くありません。
「たくさんの人をフォローしたから落ち込んだ」と原因を言い切ることはできません。
ただ、「誰の投稿を目にしているか」が、見たあとの気持ちと関わっているかもしれない、という手がかりにはなりそうです。

使う時間を減らすと、どうなるか

関連だけでなく、使い方を変えてみる実験もあります。
大学生143人を、3週間のあいだ、Facebook・Instagram・Snapchat の利用を1つにつき1日10分に制限するグループと、いつも通りに使うグループに無作為に分けた研究です。
制限したグループでは、孤独感と抑うつが、対照のグループより下がっていました。
一方、不安や「取り残される不安」は、どちらのグループでも開始前より下がっていました(Hunt ら, 2018)。

著者らは、使う量を減らすことが助けになる可能性を述べています。
ただし、参加者は大学生で、期間は3週間です。
社会人や、もっと長い期間でも同じことが起きるかどうかは、この研究だけでは分かりません。
両方のグループで不安が下がったことから、「自分の使い方を意識して記録すること」自体にも意味があった可能性が、著者らによって指摘されています。

試せる、小さな工夫

ここからは、研究をふまえた、この記事からの提案です。研究で示されたことそのものではありません。

  • 見たあとの気分を、一言メモする。 「少し元気」「ちょっと重い」など、数日分だけ書いてみる。やめるためではなく、自分の傾向を知るためです。
  • 「見るだけ」の時間と「やりとりする」時間を、分けて眺める。 友人にひと言送ると、気持ちがどう違うかを確かめてみる。
  • 見たあとに重くなるアカウントは、通知やフォローを見直してみる。 相手を否定するのではなく、いまの自分に合う距離を選ぶ、という考え方です。
  • 開く時間帯を一か所だけ変えてみる。たとえば、寝る前の10分だけ別のことをしてみる。

頭の中でぐるぐる考えてしまう人は、『「考えすぎるわたし」へ』で紹介している、自分の考えを眺める方法が役に立つかもしれません。
画面から離れてぼんやりする時間については、『ぼーっとする時間はムダじゃない』で紹介しています。

自分の場合を考えてみる

正解を出すためではなく、自分の使い方を眺めるための問いです。

  • SNSを開く前の自分は、どんな気持ちでしょうか。
  • 閉じたあとの気分は、開く前と比べてどうでしょうか。
  • 気分が軽くなる使い方と、重くなる使い方は、同じでしょうか、違うでしょうか。

SNSで気持ちが動くのは、感受性の問題や弱さではありません。
うまく距離をとれない日があっても、それは失敗ではありません。

つらさが続くときは

気分の落ち込みが長く続く、眠れない、食欲がない、何も楽しめないといった状態が続くときは、一人で抱え込まないでください。
身近な人、職場や地域の相談窓口、医療機関に相談することも、大切な選択肢です。

Summary

  • SNSの研究では、「見るだけ」の使い方と「やりとりする」使い方が分けて考えられ、見るだけの使い方で気分との間にマイナスの関連が見られていた。
  • 研究全体では、SNSの利用とメンタルヘルスの間には小さなマイナスの関連があり、その関係は使い方や指標によって変わる複雑なものだった。
  • 大学生を対象にした3週間の実験では、利用を制限した人で孤独感と抑うつが下がったが、長期や他の年代で同じかどうかは分かっていない。
  • 見たあとの気分を記録するなど、小さな工夫で自分に合う距離を探してよい。つらさが続くときは、周囲や専門家に相談してよい。

引用・参考文献

  • Hunt, M. G., Marx, R., Lipson, C., & Young, J. (2018). No more FOMO: Limiting social media decreases loneliness and depression. Journal of Social and Clinical Psychology, 37(10), 751–768.
  • Lup, K., Trub, L., & Rosenthal, L. (2015). Instagram #Instasad?: Exploring associations among Instagram use, depressive symptoms, negative social comparison, and strangers followed. Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking, 18(5), 247–252.
  • Meier, A., & Reinecke, L. (2021). Computer-mediated communication, social media, and mental health: A conceptual and empirical meta-review. Communication Research, 48(8), 1182–1209.
  • Verduyn, P., Ybarra, O., Résibois, M., Jonides, J., & Kross, E. (2017). Do social network sites enhance or undermine subjective well-being? A critical review. Social Issues and Policy Review, 11(1), 274–302.

画面の中の誰かと比べなくても、あなたの一日はちゃんとあなたのものです。
今日は、気持ちが少し軽くなる距離を、ゆっくり探してみてください。

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